5
「アキラどないしたん、しんどいん?」
寝室のベットの横で丸くなっている俺に気がついたたーくんは心配そうに駆け寄ってくる。そっとしておいて欲しかった。いや、そっとしておいてほしいのであれば、ここにいることが間違いだ。俺は、たーくんに心配して欲しかったんだ。心配されるだけの価値があるって思いたかった。最低だ。
「とりあえず、制服着替えようか? そのままじゃ、ゆったりできへんやろ。あ、動けるかな?」
どうして俺なんかにそんなあたふたしてくれるのだろう。たーくん今日は仕事忙しい日だったから、疲れているだろうに。余計な動力つかわせている。
「俺、できること限られてるけど、何でもしたるから、何かあったら、言ってな。一人で抱え込まんといてな」
「…………」
「アキラ?」
ねぇ、どうしてそんな残酷なことが言えるの?
「優しい言葉が、希望に続く言葉が、どれほど、俺には怖いかわかる?」
「え?」
「たーくんのこと、好きになったら、どうしてくれるんだよ」
「アキラが望むとおりにしてあげるよ?」
たーくんはそう言って深刻な顔をする。
俺はただじっとたーくんの言葉の意味を考えていた。
[*前] | [次#]
目次
以下はナノ様の広告になります。