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「…………あ」
そういえば、たーくんは俺を拾う前に彼女さんと同棲していた。そして、その彼女さんとは簡単に別れてしまった。
たーくんの好きってそれくらいのものなのだろうか。
俺のことも好きだって言ってくれているけども……
優しいたーくん。彼女さんとは恋人同士だったわけだし、もっともっと俺よりも優しく接していたんだろう。それなのに、二人の終わりは呆気なかった。何一つ悪気のない顔をして、たーくんは彼女さんのことをふった。俺はそれを一部始終見ていた。
俺のせいか。
いやでも彼女さんのことを大切に思うならば、俺なんてわけわからない中学生を家にかくまうか?
ていうか、たーくんは俺をどうして家に住まわせてくれるんだろう。俺、お金払ってないし、好き勝手やってるし。
いや、一緒に居たいって言ってくれたよな…?
だったら、いいよね。
…………。
ねぇ?
一緒に居たいっていつまで。
そして俺は何時までたーくんの家にいるつもり?
いつだって、俺は、たーくんの優しい言葉にホッとしながら、何処かで怯えていた。小心者だから、今をあたり前だと思うことを怖がっている。
たーくんの存在や好意を何処かで疑い、避けている。
やっぱり、俺は真っ直ぐに希望を信じることができない。
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