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「そんな、たーくんが謝ることなんてない。いつもお世話になってばかりで何も出来ていない、俺だし……」

本当のことだけど、実際に口に出して言うとなんだかひねくれているように聞こえた。そして自分の言葉で俺はまた傷つく。本当に弱いな。
ポロっと言葉が一つこぼれたら、次から次へと溢れて行く。

「満足に掃除もできなかったし、たーくんのツボ割るし、余計な手間をかけるし、迷惑だし、俺、いやなんていうか」

「掃除してくれようとしてくれたん?」

「お、おう、まぁな」

「アキラ、ありがとう」

「え?」

「やから、ありがとうって」

「俺、何もできてないし、ツボ割って、迷惑かけただけだし」

「何言ってんの。俺は掃除しようって思ってくれたことが嬉しい。それにな、迷惑かけてほしいねん、俺は」

「は?」

「俺、アキラのことで必死になるの、好きやねん。俺ってなんていうのか、何もないから。我儘言って。駄々こねて。めちゃくちゃに甘やかしたるから」

「…………そこまで言うなら、かか、考えておく」




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