７
「……俺にも意味がわかるように話して、たーくん」
お願いしている身なのに、俺は不機嫌な言い方しかできない。
ただ、たーくんのこういう意味深な言い方を簡単に理解できる人が、俺以外にいるのが悔しいんだろう。
「じゃあ、アキラも俺にわかるように、ツボの話をして」
「え？」
「なんであの時あんなにも泣いとったんかな？」
「……あ」
また怖くなった。たーくんは怒っていないだろうけど、さっきまでの浮かれ顔をやめて真剣な顔をするから。俺は気分を害させたんじゃないかって怖くなる。
「ごめんなさい」
「ちょっとアキラなんで謝るんや？ アキラ何も悪いことしとらんやろ？」
「……違う」
気を使わせたいわけじゃない。
謝りたいわけでもない。なのに、震える唇から出てくる言葉は謝罪ばかりだ。
俺はたーくんに何を伝えたかったんだろう。
「ごめんなさい。俺、その」
面倒な奴だと思われたくないのに、面倒な奴だと思われても仕方ないことを今している気がして、でもそう思うとまた怖くなって「ごめんなさい」を繰り返す。俺は馬鹿なんだろう。馬鹿だ、本当に。
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