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「ああ、もう、怪我してるやんか」
「?」
たーくんは俺の手を掴んで、慣れた手つきで傷口に消毒スプレーをかける。
俺が困惑している間に、綺麗に包帯まで巻かれて、手当てを受けてしまった。
真剣なたーくんの表情は何処か、見ていて痛々しかった。
「……たーくん」
どうして、俺のこと心配してくれるの?
どうして、ツボのこと何も聞かないの?
怒ってないの、残念に思っていないの?
「どうして……?」
「どうしてって、アキラ、怪我しとるし、泣いてるし、めちゃくちゃ痛かったんやろうか、と思て、手当てしたんやけど、駄目やった?」
「駄目じゃないけど、俺、ツボ割ってしまった」
「?」
それがどないしんたん、とでも言いたげな表情をされて、俺は「たーくんが大事にしていたツボを割ったんだ」と説明した。
たーくんは「それもそうやけど」と言って、軽々しく俺を持ち上げ、お姫様抱っこをした。
「ごめんなぁ。俺こういう担ぎ方しかできへんから」
そのまま俺はリビングへと運ばれて行った。途中、下ろせとか強がった事を言ったけども、内心はすごくホッとしていた。
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