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「ただいま……ってアキラ何してるんや!」
慌てて、たーくんが駆けよってくる。
俺が落として割ったツボの破片、もう見られたかな?
俺は怖くて、蹲る。
「大丈夫か?」
「……大丈夫じゃない」
俺は首を横に振る。
「ごめん、割っちゃった……血がついてしまっ」
「アキラ、動くな!」
「……ぅく」
泣いたら、駄目だってわかっているのに、怖くなって、ボロボロ泣いてしまう。
たーくんの足音が遠くなって行く。たーくんが何処かへ行ってしまった。
「ちが…う…」
違うんだよ。俺はただ、掃除をしたかっただけで、ツボを割りたかったわけじゃないんだよ。たーくんのためになりたかっただけで、迷惑かけたかったんじゃないんだよ。
余計な手間を増やしたかったわけでも、当てつけでもなくて。
でも、現実は、俺の目の前に広がっている惨状じゃないか。
「え?」
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