「……あ…」

嫌なタイミングで嫌なことを思い出してしまった。
俺はぽろぽろと流れる涙を振り払う。泣いてもツボは元に戻らない。泣いている暇なんてない。もうすぐ、たーくんは仕事から帰ってくる。それまでにどうにかしないと。

「…………」

どうにかするって、どうするんだろう。俺。
次々に頭の中が言い訳まみれになっていく。
俺は言い訳がしたいのか?
俺は悪くないと言いたいのか?
違うだろう。俺はたーくんの大切なツボを割ってしまったことには変わりないだろう。変わりないけど、たーくんが知ったらどう思うだなんて、考えて、何、これ……

嫌だ、嫌だ、嫌だ。



嫌われたくない。

怒られたくない。



「……いたっ」

誤って、ツボの破片で指を切ってしまった。俺は慌てて、自分の血が破片につかないように、抑える。
俺まで壊れてしまいそうだ。




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