「なんで、俺、たーくんの家でお世話になっているんだろう」

「どないしたん。急に」

お風呂からあがってくると、アキラは不安そうにそう言った。

「だっておかしくない?」

俺には何がどうおかしいのか、わからない。

「何処がやの?」

「他人なのに、どうして、一緒にいるんだろう。俺、何を思って、ここで図々しく生活しているんだろう」

「アキラ?」

「……ごめん。やっぱり意味がわからない。たーくんが俺に親切にする意味も、俺が此処に居ていい意味も」

そんなの、俺かて、わからへん。

「わからへん」

「え?」

「やから、俺には難しいことは、わからへん。でも、ええやん。家出したアキラを俺が引き受けた。それだけで、ええやん」

あっけらかんと、俺はそう言った。
こういう時、なんて言えば、いいのか、俺には、わからへんから。
だから、思ったことをありのまま言うことしか……。



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