「合い席でも…」

「あ、構いませんよ」

有給が取れた平日のお昼頃、俺はカフェ屋さんに行く。
珈琲と旅行雑誌だけが俺の何かを埋めてくれる。
家に居ても一人になれないから、たまにこうしてここに来る。
ま、合い席させられる時点で、もう一人になれないんだけど、さ。
しかたないか、と考えながら、俺はウエイトレスについていく。

「では、こちらへ」

「ありがとうございます」

差し出された椅子に俺は座る。そして注文をして、合い席になった人に挨拶をしようと視線を向けると……

「!」

そこにいたのは学生服を着た、中学生だった。
俺がひそかに気にしている、あの子だった。

「ど、どうも…」

ティーカップを両手で抱えながら、学生はびくびくと俺を見上げる。
俺は怯えさせてしまったと思って、ヘラっと笑った。
すると学生は、もっと、びくびくし出した。
何これ?

「ごめんね、俺、怖い顔している?」

自分でも驚くぐらい、俺、焦っていた。



[*前] | [次#]
目次



以下はナノ様の広告になります。
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -