「なんで、俺、たーくんの家でお世話になっているんだろう」

「どないしたん。急に」

お風呂からあがると俺はリビングにいるたーくんに疑問を投げた。

「だっておかしくない?」

「何処がやの?」

「他人なのに、どうして、一緒にいるんだろう。俺、何を思って、ここで図々しく生活しているんだろう」

「アキラ?」

「……ごめん。やっぱり意味がわからない。たーくんが俺に親切にする意味も、俺が此処に居ていい意味も」

同居してしばらくの間、俺は両親が学校に俺を迎えに来るんじゃないかって、そればかり考えていた。でも、それを考えるのをやめた。すると次は、俺が此処で平然と暮らしている意味が全くわからなくなった。
今俺がきているパジャマはたーくんが頑張って働いたお金で買ったもの。さっき食べたご飯も、浸かったお湯もみんな、たーくんのものだ。

「わからへん」

「え?」

「やから、俺には難しいことは、わからへん。でも、ええやん。家出したアキラを俺が引き受けた。それだけで、ええやん」

あっけらかんと、たーくんはそう言った。



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