生意気な!




=宮田の姉side=


欲しいものは何でも買ってもらえた。
私は名家に生まれたお譲さま。
品よく正しく、気高く、生きてきた。
それは当り前のこと。だって、私は特別だから。
その辺の人と一緒になんてしないでよね。

そんな私には自慢の弟がいた。
勉強も運動もできる。なのに、それを鼻にかけない、素敵な弟。
私の大学の友達に自慢して回りたいくらいよ。
なのに、弟……誠一は変わってしまった。
品のなさそうな、貧しそうな、金髪の友達なんて作った。
生意気な!
誠一は優しいから、貴方と仲良くしてあげているだけよ!
嫌味でも言ってやろうかと思った。
だから、たまたま見かけた下校中の二人の後を私は尾行した。
だって誠一の前じゃ、私、猫をかぶっちゃうから。
誠一があの金髪とバイバイをした時、私はあの金髪に言ってやるのだ。
誠一と貴方では生きる世界が違うのよと。

そうだ。そうなんだ。
誠一は……

「あ……」

私は、立ちつくした。
初めてだった。あんなにも嬉しそうに幸せそうに笑う誠一を見たのは。
負けた。完全に、私の負けだ。
認めてあげよう。特別に。

「誠一、偶然ね。私も今、帰りなの。あ、そちらの方はお友達? とても可愛らしい方ね。誠一のこと、よろしくね。あ、私、この子の姉で……」



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