俺の心配は尽きない
=担任side=
「くわー」
窓から見えた景色に俺は叫んだ。
まず、最初に言っておこう。俺はそんな奇怪な悲鳴を上げるような人間じゃない。この番外編の小説をずっと読んでくださっている方はご存じの通り、イケメン教師。そう、ただのイケメン教師である。
担当科目は秘密だ。だって、作者がまだ決めてくれていないからだ。
あ、しまった。内部事情はどうでもいい。
今どうして俺はこんなに頭を抱えるように、廊下でうずくまっているかと言うと、大切な親戚の子が、男とイチャついているからだ。
「くそぅ」
歯がゆい気持ちをこらえていたら「あー、先生どうしたんですか?」と脳天気な声がした。俺のことをいつも苛めてくる生徒だ。ま、俺ほどイケメンになるといろいろと大変ってわけだ。とにかく冷静に「どうもしない」と答えた。
「じゃあ、不細工な顔してないで、下さいよ。朝から目覚めが悪いです」
「おま、俺は何時だって、イケメ…」
「ナルシストもたいがいにしやがれ、平凡顔」
「…………」
生徒のきつい言葉に俺はフリーズした。
ただ、それでも、心の奥底には今さら気がついた、真佐への気持ちで溢れかえっていた。ああ、なんであんな男なんかに。でも真佐の笑顔を見たら、しかたないのかと、思えた。ああ、嫌な役回り。俺が選んだ道なのに。もういいや、俺は全力で真佐を見守ることに、決めた。
俺の心配は尽きないからな、色んな意味で。
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