好きって言えなかった




=氷流side=


宮田が好きだと言ってくれて、俺たちは付き合うことになった。
でも、俺は宮田に好きって言えなかった。

「好きなんだけどな…」

どうしてあの時、素直に言えなかったんだろう。
宮田に好きって言われて、嬉しくて忘れていたのか…?
だったら、今からでも言えばいい。
伝えたい。
なのに、言葉が上手く使えない。

体育館裏の木の下。
君と初めて会った場所。
全ての始まりのような、場所。
俺は一人、コタロー(ぬいぐるみ)を前に、気持ちを伝える練習をしてみる。
宮田が此処にくるまで後10分は余裕があるからだ。

「……あ、その」

宮田代理のコタローを目の前にしても、口ごもる。
俺、どれだけ、ヘタレなんだろう。
大きく息を吸って、一度瞳を閉じる。
うん、言えそう。

「俺は、宮田が、好き、で、です」

「……お前、何して」

「ほへ?」

そこには宮田がいて、俺は恥ずかしさのあまり死ぬかと思った。



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