君のおかげ




=宮田side=


「父さん、話があるんだけど」

忙しそうに家の中を走り回っている父に俺は声をかけた。
父は一言「後だ」と冷たく背中を向けて走って行ってしまった。

「ああ、後で、ね」

でも、俺は、もう、そんなことで傷つかない。
父は俺のことを嫌っているわけでも、どうでもいいと思っているわけでもないと、気がつけたから。
だから、平気。

ただ、今は忙しくて、俺に構えないだけ。



そう、ちゃんとわかっているのに、まだ、寂しいと感じる。
思い通りに物事が運ばないことに、ちょっともやもやする。
ああ、それでも理解はしよう。

俺が俺であるように、父は父だ。



世界は俺を中心に回ることなんてない。



そんなあたり前なことに、俺は最近気がついた。
君のおかげで。



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