12
言いたいことはたくさんあった。
思うことはたくさんあった。
でも、みんな、綺麗に溶けてしまった。
そっと俺は宮田の背中に手を回す。
すると宮田は急に俺から離れて、勢いよく、覆いかぶさってきた。
キスされた。
俺は回らなくなった頭で考える。
でも何がどうしてそうなったのか、わからなかった。
「……ごめん」
「え?」
急に謝った宮田に俺は首を傾げる。
どうして謝られたのかわからなかった。
「つい、勢いで…してしまって、ごめん」
「何を?」
「キス…を」
「え、あ、ああ、と気にしないでいいよ!」
事の重大性を俺はやっとここで理解した。
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