反抗するのが面倒くさくなった。
受け入れてしまえば、こんなにも安全で楽だとは思わなかった。

小さい頃から、俺は厳しく育てられた。
どうやら生まれてきた家が悪かったらしい。
周りからは「お金持ちだ」「名家の坊だ」などと言われるが、その意味も良さも俺にはわからない。自分が成功したからって、子どもにまで成功と礼儀を求める親の気持ちにも、吐き気がする。
確かにここまで俺を育ててくれたことや、今こうして食にありつけているのは全部、両親のおかげだとはわかっているけども。
まだ納得しきれていない。

一家全員がそろった晩ご飯も味わう余裕もなく、俺は構えていた。
今日は俺の編入初日。
絶対にそろそろ、質問が飛んでくるはずだ。

「それはそれとして、誠一、新しい高校はどう?」

上品に口元を押さえながら母は話しを振ってくる。みんなが俺の方に注目する。

「まだ、慣れなくて……。でも、先生もいい人で、クラスメイトも尊敬できる人ばかり。学校自体も歴史があって、僕にはもったいないように感じますが、お父さんが、編入させて下さったので、僕もそれに恥じないようになりたいと思っております」

俺なりのいい子ちゃん回答に姉が「まぁ、しかたないわよ。今まで汚い学校にいたもの。でもね、庶民のことも学んで、ああならないようにするのが、宮田家の決まりなのよ」などと言う。
すると母が「でもね、貴方がいるべき世界はこっち側だから、すぐに今の環境になれると思うわ。そうよね、お父さん」と次は父に話しをふる。

「そうだ。わかっているとは思うが俺たちに恥をかかせるな。それだけは守れ」



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