10
『姉さん。姉さんは、怒る時ってどんな時?』
『怒るって、そうね。思い通りにいかない時かなぁ』
『思い通りにいかない時って?』
『子どもみたいに、駄々っ子になる時よ』
『駄々っ子?』
『そう、駄々っ子。本当はね、心の何処かで答えを知っているのに、それを認めず、棚に上げて、都合のいい解釈をしようとして、それで、気持ちの整理がつかない時よ」』
『持ちの整理がつかない時に、怒るの?』
『そうよ、現実を受けとめられなくて、怒るの』
ああ…。
姉さんの言うとおりだ。
気まずいまま終わったお昼休みを思い出しながら、俺は五時間目の授業中に泣いた。
泣いてばかりいる、俺も、悪いとは思ったけども。
宮田の考えには賛成できなかった。
だって、君は俺と違って、健康じゃないか。
健康な人が、健康なのに、不健康な不幸を知る必要なんてない。
あるはずがない。
でも、その気持ちは…有りがたいものだと思おう。だってそれって、俺を理解しようとしてくれてのことだろうから。だから。でも。そう、それでも。
[*前] | [次#]
目次
以下はナノ様の広告になります。