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『姉さん。姉さんは、怒る時ってどんな時?』

『怒るって、そうね。思い通りにいかない時かなぁ』

『思い通りにいかない時って?』

『子どもみたいに、駄々っ子になる時よ』

『駄々っ子?』

『そう、駄々っ子。本当はね、心の何処かで答えを知っているのに、それを認めず、棚に上げて、都合のいい解釈をしようとして、それで、気持ちの整理がつかない時よ」』

『持ちの整理がつかない時に、怒るの?』

『そうよ、現実を受けとめられなくて、怒るの』

ああ…。
姉さんの言うとおりだ。
気まずいまま終わったお昼休みを思い出しながら、俺は五時間目の授業中に泣いた。
泣いてばかりいる、俺も、悪いとは思ったけども。
宮田の考えには賛成できなかった。

だって、君は俺と違って、健康じゃないか。
健康な人が、健康なのに、不健康な不幸を知る必要なんてない。

あるはずがない。

でも、その気持ちは…有りがたいものだと思おう。だってそれって、俺を理解しようとしてくれてのことだろうから。だから。でも。そう、それでも。



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