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それから、しばらくして、一時間目の授業がはじまり、四時間目の授業が終わった。
俺と宮田はお弁当を持って、体育館裏へと移動した。
「氷流、俺さ…」
弁当箱を開けながら、宮田は呟いた。
「特に何もしてやれないけど、気持ちくらいは、分け合えたらなって思った。だから、お前が辛い時は、俺も辛く感じていたい」
「え?」
それって、なんだかおかしいんじゃないのかなって、俺は思った。
でも、真剣な顔をして言う、宮田を前にすると、言葉が上手にのどを通らない。
「氷流だけ、辛い思いをするのも、なんかおかしいよな」
「おかしいの?」
どうしてか俺は声が少し上がる。
「おかしいってどういう意味?」
「怒るなよ、氷流」
「怒っていない!」
「怒っているじゃん」
「俺は、怒ってなんか、いない!」
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