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ああ…また怒らせている。
どうして。俺って。こんなん、なんだろう。
「……泣くなよ」
「ごめん。違うくて…」
ぽろぽろと流れだした涙を俺は顔を伏せて隠す。
困ったような顔をしていた宮田が、そっと俺の隣に腰を下ろした。
不謹慎なことに、それが嬉しかった。
離れて行かないで。
そばにいて欲しい。
でも、宮田を怒らせるのは嫌だ。
嫌なんだ。
「違うくて、俺、ただ、宮田を怒らせてばかりで、それが…」
それが辛くてしかたなかった。
「嫌われるんじゃないかって、友達やめられるんじゃないかって、怖くて不安で、どうしたらいいのか、わからなくて」
「悪い。そんな風に思わせて、ごめん」
「…宮田」
「ごめんな」
ごめん。何回もそう言って、宮田は俺を抱きしめてくれた。
優しくて、温かくて、俺は甘えてしまいそうになった。
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