６
「鈍感じゃないと、なんなのよ。アンタ。あ、天然っていうのよね。そういうの。本当にどうしようもない」
相変わらず、含み笑いをやめずに姉は言う。
なんだか、俺って悪い奴なのかもしれない。
「……あ、ごめん。真佐。変な意味じゃないのよ。ただ、なんていうのか…」
「…………」
「そう、あれよ。また話し合えばいいじゃないの？」
「……いいのかな…話しても」
「いいに決まっているでしょう」
「でも、俺、また宮田を怒らせるかもしれない」
「怒らせたっていいじゃないの。嫌われたわけじゃあるまいし」
「嫌われてはいないのかな…」
「嫌いだったら、そもそも話しなんて聞きたくもないし、傍にもいないでしょ？」
怒っていてもそばにいてくれるってことは、好かれているんだよ、と姉さんは言ってくれた。
俺はその言葉を胸の奥にしまいながら、少し微笑む。ホッとしたんだ。
不安は拭えないけども。
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