3
ふぁあーー…と、眠りから目が覚めた、金髪は伸びる。
隣に座っている俺に気がつくことなく熊のぬいぐるみを抱き寄せる。
ぶっきらぼうに俺は彼に、先生から預かっていたプリントをさし出す。
「え?」
氷流は間抜けな声を出して、俺を見る。
俺はそっぽを向いたまま、プリントをとるように無言の催促をする。
どうしてだろうな。いつもの俺なら『これ、先生から頼まれたんだあ』なんていい子ぶって笑うだろうに。
「……えっと、あ」
ようやく俺が何を差し出しているのか理解したようで、氷流はプリントを受け取ってくれた。
「ありがとう」
線の細い声で言いやがる。
弱々しい顔をして、言いやがる。
調子が狂う。
「……いや、別に、頼まれただけだし」
素直に頷けなかった俺は、そう言うと明日の予定を伝えて、ここから去ろうとした。
「じゃあな」
「あ、あの、名前。名前…は?」
「俺の……名前なら、明日ちゃんと出席したら、わかるよ。氷流」
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