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馬鹿なのは俺だった。
猫かぶりを始めた理由はそうしないといけない環境にいるからだと思っていた。
何をしても、何を失敗しても、全て他人のせいだった。
周りが悪いから、俺は、こんな目にあっているんだと思っていた。

こうやって生きて行くことを選択したのは俺なのに。

『自分に力がないと思ったらな、周りに助けを求めたらいい。助けてくれる可能性なんてないに等しいかもしれないが、黙り込んで全てを受け入れたら、それで終わりだ。変わりたいなら、救われたいなら、反抗しないと駄目だ。反抗するとな、傷つくことばっかだし、途中で疲れてしまうかもしれないが、諦めてしまうよりいいだろう』

ぶっきらぼうな父の言葉に俺は、何かを壊されたような気がした。
また、この人は俺のこと、見透かしていたんだと思った。

『ま、そんな風に育てた俺にも責任はあるが、そんな風に育ったお前自身にも責任はあるから、俺は謝らないけどな』

そう言って父は微笑んだ。
俺が大好きだと思っていた、あの優しい笑顔で。



『もう、高校生になったんだ。そろそろ、自分で解決できることと、人に相談しないといけないことの区別くらいつけられるようになりなさい』



いつまでも拗ねた子どものような態度をとるなと父は言った。
俺はそれがおかしくて笑った。



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