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「どうされたのですか?」
半分以上作った声で、俺は相談室の扉を開いた。
カーテンを握って空を見上げていた担任と目が合う。
そう俺を此処に呼んだのはこの人。
「わざわざ個室に呼び出すなんて」
いったい何の話をされるのだろう。
俺は面倒くさいと心の底では呟きながら、ニコニコと笑う。
「ああ、悪かった。宮田の意見を聞かせてほしかったんだ」
「僕の意見ですか?」
「そう、とても酷な話」
悲しそうな顔をした担任に俺はピンときた。
「……氷流のことなら、喜んで、聞きますよ」
「宮田は本当に察しがいいな」
「違いますよ、先生がわかりやすいだけですよ」
俺は相変わらずワントーン高い声を出して笑う。
内心、ひやひやのくせに、何でもないふりをする。
気付かれたくなかった。
知られたくなかった。
俺がこんなにも動揺しているってこと。
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