15
宮田の顔が真っ赤だった。
何かに焦っているようにわなわなと口を動かしている。
それを見たら、なんだかおかしくなった。
(俺ばかりが不安で、焦っていたわけじゃないんだ)
宮田だって、俺みたいな友達に、いろいろ不安になって、焦って。
こんなの不謹慎なのに嬉しい。
不安なのが焦るのがどんなに辛かったことか、俺は知っているはずなのに。
「さっきのは、忘れろ!」
よっぽど恥ずかしかったのか、宮田はそう言ってそっぽを向いた。
でも「やっぱり忘れなくていい」と続けた。
俺はというと「ありがとう」を繰り返した。
他に何を言ったらいいのかわからなかった。
でも、それを不安だなんて思わない。
自惚れかもしれないけど、確かに宮田は俺のこと思っていてくれている。
そう思うと怖くなかった。
こんな俺でもいいって言ってくれたのだから。
もう大丈夫。
帰ったら、姉さんにはお礼を言わないと。
「宮田、俺、宮田と友達になれて幸せ」
「そ、そうか。よかった……」
「何、照れてるの?」
「まぁ、そんなところ」
第二話「いつか日常に成り下がるだろうが」完結
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