13
「氷流、俺の、話も聞いてくれるか?」
泣いてしまって、声が出なくて、俺は頷いた。
「俺さ、不安だった。正直、氷流と一緒にいたいって思って付きまとうように一緒にいるけど、氷流は、どう思っているのかなって」
「え?」
一緒にいたいって言葉に、また涙が溢れる。
「休みの日だって、本当は、ゆっくりしたかったかもしれないのに、映画とか付き合わせて大丈夫だったかなって思ったりして。でも、それを聞いたら、俺、すごく我儘な奴みたいだから、気がつかないふりして、何でもない顔して、でも怖くて、でも、一緒にいれて幸せで」
「俺、も、宮田と一緒にいたい」
たくさん言いたいことがあった。
でもそれしか言えない俺がいた。
なのに、宮田は、もう充分といった顔をして笑う。
「ありがとう」
「?」
「少しだけ、抱き締めさせて」
「え、ああ、うん」
断る理由もなく、俺は手に持っていた弁当を地面に置くと、ゆったりと両手を広げた。
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