第一話




俺の名前は宮田誠一。
猫かぶりが標準装備のどこにでもいるような、高校一年生。
なんでも俺は温厚な顔をしているらしく、いきなり学級委員とか押し付けられた。
まぁ、断るのも面倒だし、後々この面倒な役割も自分の役に立つと割り切って、引きうけてみたものの、全くもって不愉快である。
担任の先生に職員室に呼び出されたかと思うと、なにやら、中等部からの問題児に会いに行けって言う。

「頼む。宮田なら、あいつも心を開くと思うんだ。だから、だからな、明日の予定とか伝えてきてくれ。あ、今日の無断欠席の件は触れないでいいから」

「でも僕なんか、高等部からの編入生だし、その氷流くんと面識もないし」

わざと弱々しく、かわそうとする。
本当に面倒事は嫌いだ。

「大丈夫だって。宮田なら」

「そうですかね」

明からに押し付けに近い先生の態度に俺はもうげんなりしてきた。
こういう奴を相手になよなよしても仕方ない。
と、まぁ、優しい俺は、憶病で勝手な先生から明日の予定と今日の配布物をもらうと、早速、問題児・氷流がいるらしい体育館裏を目指した。

ていうかさ、俺、此処に編入一日目だし、おかしいよな。
学級委員とか、問題児と話して来いとか、詳しくもない学校の地理も教えられないまま野放しとか。
まぁ、腐った世の中こんなもんだよな。
嫌なことは多数決で簡単に押し付けて、みんな他人事で知らない顔。

ああ、もう、疲れちゃった。



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