なんだ、よかった。
俺、嫌われるようなことしたかと思った。

「じゃあ、映画行こうか?」

「あ、ああ」

ホッと息をついた俺に宮田は右手を差し出して、引っ込めた。
俺はとっさのことで何が何だかわからずに考えた。

「宮田」

さっきはどうして右手を出したんだろうと、聞こうとしたら「悪い、なんか、さ」と言いにくそうに呟いて、宮田は歩き出してしまう。
「気にしないでくれ」なんていわれたけども、何を気にしなくていいのかわからなかった。

「氷流?」

「え?」

「歩くのしんどい?」

優しい顔をして、宮田は俺を見つめる。

「大丈夫?」

そこで俺は今、自分が、歩き出した宮田の後も追わずに立ち止まっていることに気がついた。
本当、俺、何してんだろう。駄目だな。

「え、ああ、大丈夫。ちょっと考え事してただけで」



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