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待ち合わせの10分前に集合場所に行くと、すでに宮田がいた。
あたりを見渡して、溜息をついている。
俺、もしかして、待たせた?
一生懸命、俺の出来る範囲で全力疾走して宮田のもとへと急いだ。
だけど、宮田の目の前につくと、息が切れて、声が出なかった。
(どうしよう、待たせたって、謝らないといけないのに)
はやく息が整えばいい、そう思えば思うほど、変に息が詰まってしまった。
「氷流、そんなに急がなくても、まだ時間じゃない」
落ち着け、と宮田はぶっきらぼうに言う。
やっぱり怒っているのか?
本当に、どうしようと思いながら、見上げたら、宮田は顔を赤くしていた。
「……あ、違う。俺は、怒ってない。ただ、走ってくる馬鹿が、いて」
「馬鹿って」
「いや、何でもない」
「ごめん」
「謝らなくていい。氷流は何も悪いことしてないだろう」
「だって、さっき、溜息吐いていた」
「え、ああ、あれは……」
浮かれている自分自身に呆れていたんだ、と宮田は苦笑した。
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