四十八手
*鵯越の逆落とし*

「・・・という、兵法が由来の体位だそうですよ」

そもそも行為中に逆立ちしてもらうことが難しい。
どう促したところで、風華に怪訝な顔をされることは目に見えていたので、全部話した上で及ぶことにした。

「兵法は構いませんけど、どうして逆立ちでそんなことされなきゃならないんですか」

当然の問である。喜助とて、謎で仕方がない。
色々考えてはみたのだが、おそらく深い意味はないのだろうと思っている。

「さぁ?それは昔の人に聞いてみないと。とりあえずやってみませんか。ね?」

枕元の常夜灯の淡い橙色の光を便りに、逆立ちをした風華の足を支える。
淡い光でも見えなくはないが、如何せん足元だけの光では影になる部分も多く見辛い。

「暗いとあぶないから、電気つけましょうか」

「え、やだ、待って、」

白熱灯の灯りに照らされた彼女の秘部が見える。いつもよりもはっきりと見える。じっと眼を凝らすと、割れ目の隙間から密が滲んでおり、濡れたそこは呼吸をするかのように収縮を繰り返している。

「やだっ、見ないで」

じたばたと風華が脚を動かすが、その両足は喜助が支えている状態で、彼女の自由は殆どない。

「ああ、上からだとよく見えますね」

「だめ、んっ、」

まだ濡れていない下の唇にちゅっと口付ける。
彼女の頭に血が昇らないうちに、達してもらわなければならない。加減していては間に合わないと考えて、喜助は舌での愛撫に集中する。

「あ、ああ!ん、」

じゅるじゅると啜りあげては、舌先で割れ目をねっとりとねぶる。
体を支える両腕から完全に力が抜けてしまえば、そこで終り。かといって攻めないわけにもいかない。
溢れ出る蜜を余すことなく吸い上げながら、舌先で赤く腫れた肉芽や入り口を愛撫する。

「やっ、あァ、んっ!」

吸い付けば吸い付く分だけ風華の体が震える。
震える脚を支える腕に力を入れて、上に引き上げる。
じゅるじゅると、音を立てて啜れば啜るほどに密が溢れ、啜りきれなかった密が風華の繁みや臀部を伝っていく。

「だ、め、・・・ひゃっ、・・・頭が、くらくら、する、」

「もう少し頑張って?」

「もう、無理・・・目眩が、」

「あらら、仕方ないっスね」

限界を訴える風華の言葉を無視するわけにもいかない。
虐めるのはまた次回にしよう。
体を下ろすと、彼女はくたりとそのまま横たわる。
さすがに頭に血が上ってはしまうのはいただけない。

この技は、馬で急な斜面を駆け降りて勝利した様ではなく、わずかな時間で勝負を決めたことに準えたのだろうか。
それであれば、喜助は今回負けたことになる。

「うーん、奥が深いっスねぇ」

「・・・喜助さん?どうしたの?」

「ううん、こっちの話」

また少し顔が赤い風華の額に手を置いて、さてこの後どうやって自身の熱を発散させようかと彼は首を捻ったのだった。


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