何よりも雄弁な、
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※ほんのちょっとだけ大人向け。
※※苦手な方はご注意を。。。

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窓辺から射し込む弱い月の光の下、一糸纏わぬ白い姿態を見下ろす。

シーツに艶やかに散らばった絹糸のような髪。
熱に浮かされたように潤んだ瞳と、薄く開いた唇。
細く白い首筋と華奢な鎖骨。
柔らかく豊かに盛り上がった双丘。
なだらかに括れた腰と、その先にある薄い茂み。
肉付きよく張りのある太股に、しなやかで華奢な脹ら脛。

月光により、陰影を強くさせたそれは、一層彼女の体を精巧な彫刻の如く見せていた。

じっと見下ろす喜助の熱の隠った視線に耐えかねるようにして彼女が瞼を閉じたことを合図に、その美しい肢体に触れる。
あたかも美術品に触れるかのように、極力、力を抜いてそうっとその輪郭をなぞる。その指先の動きがくすぐったいのか、焦れるように彼女はその身を震わせる。
顔を背けたことで晒されたその彼女の白い項に鼻先を寄せる。昼間見えるそれとはどうしてこうも違って見えるのだろうかと不思議でならない。
同じ白さ、同じ細さである筈なのに。

喜助の指先が徐々に滑り落ち、ある一点を捕らえると、ふ、っと艶のある吐息が聞こえた。きゅっと結ばれていた彼女の唇が僅かに綻ぶ。
反応のあったその花弁をさらに爪先で引っ掻くように撫でると、白い爪先がぴくりと跳ねた。くぐもった水音が響いているその奥へ指先を捩じ込むと仔猫のような啼き声が漏れる。

だが、それも一瞬のことではっとしたように彼女はその華奢な両手で口許を抑えてしまった。

気持ちいいのなら、気持ちいいと素直に快感に身を委ねればいいと思うのだが、彼女からすれば、それは"はしたない"ことらしく、何年何十年経った今も、未だにこの調子である。

喜助としては、もっと素直に求めてほしいぐらいだ。
欲しているのは自分ばかりではないと思いたいから。
ともすれば"身勝手だ"と言われかねない程に求めてしまっていることは喜助とて理解している。朝でもなく昼でもなく夜でもなく。いつだって彼女に餓えている。どうしようもない飢餓感を覚えて、何度も何度もみっともないぐらいに掻き抱いていることは理解している。けれど、それこそ彼自身にもどうしようもないのだ。

白い双丘の合間を伝う塩気を含んだ水滴を舐めとる。
彼女が身を捩る度に、色付き綻んだ頂がふるふると揺れているのが視界の端に映っていた。
汗に溶けた彼女の香りが、舌から体内へ入り込み、それが彼の体の芯を熱くさせていく。
媚薬のように体を巡るそれに軽い目眩を覚えたまま、その渓谷の合間に華を咲かせる。
一つ咲かせると、それだけでは物足りなくなって、次々とその白磁の肌を彩るように咲かせ続ける。

同時に中心の奥を責め立てていた指先の動きに耐えかねるように、彼女の細い指先がぎゅっとシーツを強く握る。
その拳を開いて、自身の首筋に纏わせる。
彼女の瞼が開いて、目尻から透明な滴が落ちていく。
喜助が薄く笑むと、恐る恐るというように、その背中に爪を立てる。
彼女はいつも喜助の体に爪を立てることを遠慮する。シーツや枕を強く握るばかりで、喜助の体へ痕を残すことを避けていた。
やはりここでも喜助ばかりが、欲しているように感じてしまう。彼が彼女の体に華を散らすように。同じように、喜助の体にも、彼女の痕を残して欲しいのに。

もっと啼いてほしい。
もっと溺れてほしい。
もっと欲してほしい。

彼女の脚を開かせて、楔を打ち込む。
繋がったのは体だけではないと思いたい。
もっと強く。もっと激しく。
上下に揺さぶる体に、熱が上がる。
それに反比例するように心が焦れていく。

嗚呼、早く。
お願いだから。
もっと、もっと。

ーーーーー僕を、欲しがって?

「ぁっ、きす、け、っ、さ、んぅっ、」

「なぁ、に?」

「もっとーーー!!」

彼女の口から漸く漏れた言葉に、喜助は安堵したように、最奥へとそれを吐き出したのだった。






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