雨滴の演奏会
「ーーーーーひゃん、っ!」

「なーにカワイイ声出してるんスか。誘ってるの?」

「もうっ!違いますっ!!」

「ごめんごめん、そんなに怒らないでよ」

「誰のせいですか!」

「ごめんってば。で?どうしたの?」

「もう。・・・さっき、水が、」

「水?」

「ええ、・・・きゃっ、」

「ああ、もしかして、雨漏り?」

「そうみたい・・・」

「どれ、・・・あちゃー、バッチリ染みてきちゃってる」

「ここのところ、梅雨で雨続きですものね」

「この建物もかなり年季が入ってきてますからねぇ」

「いけない、畳が濡れてるわ・・・これ、湯飲みだけど」

「ありがと。あとで屋根に登ってーーーーーつめたっ!」

「喜助さん?」

「うわ、コッチもだ」

「あら、大変。ちょっと待っててくださいね・・・一先ずこれで凌げるかしら」

「どーも、・・・って、随分たくさん持ってきたね」

「ええ。他もきっと、・・・きゃ、」

「参ったなァ。この分だともう数ヵ所から漏れてきそうだ」

「ふふ、」

「何笑ってるんスか?」

「私、こういうのも嫌いじゃないわ」

「どうして?」

「だって、特別な演奏会みたいなんだもの」

「演奏会にしては、ちょっと調子外れじゃないっスか?」

「それも味があっていいと思うわ」

「なら、折角だしもう少し聴いときますか?」

「ふふ、そうしようかしら」



とん、かん、ぴちょん、こん
こん、ぴちょん、かん、こん


雫が奏でる勝手な気ままな演奏会。
雨が上がるその時まで、静かに耳を傾けてーーー。










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