蛍の光
「今、」

「ハイ?」

「今、何か光りませんでしたか?」

「そう?」

「あ、ほら、また」

「ああ、蛍っスね」

「綺麗ですね」

「ちょっと、待っててくださいよ」

「喜助さん?どちらへ?」

「ハイハイ、いい子だからこっちに来てくださいな・・・そうそう、よし、捕まえた」

「綺麗・・・蛍袋ですか」

「そ。ね、夜の散歩でもしませんか?」

「はい、喜んで」

「蛍って雄と雌が光で呼応するんですよ、知ってました?」

「いいえ・・・雄だけが光るのかと思ってました」

「それが違うんスよ。光で呼びあって、相応しい伴侶を探すそうですよ」

「そうなんですね。光で呼応するなんて素敵ですね」

「そうですね」

「この子も、今、こうして伴侶を探してるんですね」

「ええ。呼応してくれる方が見付かれば
・・・あ、」

「・・・行っちゃった・・」

「逃げちゃいましたね」

「呼応してくれる方が見付かったんでしょうか」

「さぁ、どうでしょうね」

「そう信じます。一週間の限りある命、精一杯生き抜いてほしいですから」

「そっスね」

「この花は後で花瓶にでも生けておきますね」

「ねぇ、」

「はい、なんですか?」

「もし・・・もしも、限りある命なら、アナタはどうしますか」

「そうですね、・・・でも、やっぱり喜助さんに捕まってるんじゃないかしら」

「捕まってるって、」

「だって、逃がしてはくれないでしょう?」

「それを言うなら、アナタだって逃げる気なんてあるんですか」

「ふふ、ないですよ?」

「ほら、」

「もし、逆の立場だったとしても、」

「うん?」

「私も逃がしませんから、覚悟しておいてくださいね」

「それは此方の科白っスよ」



暗闇に明滅する蛍の光
それは呼応する愛の囁き










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