もっと頼って？
「ボク、そんなに頼りないですか」
「まさか、そんなこと思ったことありませんよ」
「じゃあもうちょっと甘えてくれてもいいんじゃないっスか」
「それは、」
「そういうところも含めて好きですけど、たまには、ね」
「また、そういうことを、」
「勘違いしてるみたいですけど、」
「こんなの、アナタにしか言いませんよ」
「こんなの、って？」
「そりゃ隊の娘にも、困ったことがあったら相談してね、ぐらいはいいますけど、甘えていいなんて、いくらボクでも言いませんよ」
「そう、なんですか」
「当然じゃないっスか。赤の他人のことにそんなに時間も手もかけれないっスよ」
「え、っと、」
「だから、アナタだけですよ」
「ごめんなさい、周りにもあんな態度なのかと思ってました」
「わかってくれたならいいんスよ。で、もうちょっと素直に甘えてくれると尚いいんスけど？」
「それはちょっと」
「ほら、また、強がってる」
「そんなつもりは」
「いいっスよ、ボクが甘やかせてあげるから」
「ちょっと、浦原さん！」
「こうでもしないとアナタ甘えてくれないでしょ？」
「・・・」
「前、ひよ里サンに言われたんスよ」
「？」
「アナタを泣かせたら承知しないって」
「ひよ里ちゃんが」
「そうっス。あの時にこれはいよいよ何かあったな、と思って迎えに行ったら、髪をバッサリ切ってるんスもん。驚きましたよ」
「え、やだ、知ってたんですか！？」
「別に聞いた訳じゃないっスよ。ただね、隊員同士のいざこざとかは察しとかないと、後々問題になるじゃないですか。だから、ね、アナタのことも気付いてたんスよ」
「そうだったんですか」
「話してくれたらどうにかしようと思ってたんスけど、話してくれないし。だからボクも知らない振りをし続けるしかなかったんスよ。」
「そうして、気にかけてくださってただけで充分です」
「だから、そうじゃなくて」
「？」
「甘えてほしいんです。ボクが。もっと、頼ってほしいんスよ」
「もう充分じゃ」
「何言ってるんスか。アナタ、全然我が儘とか言ってくれないじゃないですか」
「えーと、」
「女性はもうちょっと色々あるでしょうに、ぜーんぜん話してくれないんスもん。ひよ里サンや夜一サンには話してるみたいですけど？」
「浦原さん？もしかして、妬いてるんですか？」
「・・」
「ねぇ」
「・・・」
「喜助さん」
「最近、アナタに弄ばれてるんじゃないかって思うんスけど」
「もう！それはこっちの台詞ですよ。それで？」
「お察しの通りですよ」
「ふふ、可愛い人」
「アナタ、男が可愛いって言われて喜ぶと思ってるんスか」
「いいえ？」
「じゃあ、」
「でも、普段冷静で、切れ者で、掴み所のない貴方が、私のことでこんなになってくれるところが、可愛いな、って思えたんです」
「やっぱり喜べないんスけど」
「そうですか？私はすごく、この人はなんて可愛くて、なんて愛しいんだろう、って思ってるんですけど、ご不満ですか？」
「・・・降参です」
（なんて愛しい人！)