花金鳳花
「お兄ちゃん、またおでかけ?」

「将来のために夏期講習に出とかねぇとな」

「高校生って大変だね。あ、お兄ちゃん!今夜の夕飯、ハンバーグにしたいから玉ねぎと挽き肉買ってきて」

「おう」

馬鹿め。一護のヤローならいざ知らず。
このオレ様がそんなことするわけがないだろう。

こんな暑い昼日中になぜオレ様が毎回出掛けるのかって?
しかも水着のオネーチャンが集いそうな、海でもなく、川でもなく、プールでもなく、行き先はただのチンケな店だ。
時代錯誤もいいところな、ボロい駄菓子屋だ。
なぜこのオレ様がそんな店に行くのかって?
それはだな。

ーーー女神に逢う。

そう。これがこのオレ様の任務であり日課なのだ。



「風華姉サー・・・ぐほぉっ!!!!」

抱き着こうとした瞬間、オレ様、違った一護の顔面に下駄がヒットした。

「何しにきたんスか、ぬいぐるみの分際で」

「今はぬいぐるみじゃねぇ!!つーかテメェこそいきなり何しやがんだ!!」

「ウチの大事な女神に近付こうとした羽虫を叩きおとしてるだけっスよ」

ゆらりと立ち上がったソイツは突然斬魄刀を抜きやがる。

「ま、まて!!話せば分かる!アンタも大変だよな!!?あん女神が側にいちゃ、不安なんだろ!?拐われたら大変だもんな!?」

「ええ。本当に毎日毎日心配で・・・だから、こうして一人でも危険因子を取り除こうと」

あ、間違えた一匹か。なんて浦原のヤローは淡々と宣う。
ヤバい、眼がマジだ。マジ中のマジだ。

「あら、コンちゃん。いらっしゃい。今日も一護くんの代わりにお勉強?」

救世主あらわる〜!!!
ナイスタイミングだぜオネエサマ〜!

「風華姉すぅあ〜〜ん!今日もなんて麗しいんすかぁ!!惚れ惚れしますよ〜」

オレ様はつい体をくねくねさせちまう。
なんせこの風華姉サンといえば極上のとびっきりの上玉だ。
し、か、も!!
オレ様好みのナイスバディ!
服の上からじゃそんなに分からないから、初めはオレも気づかなかったんだが、あれはちょっと前に戸棚を整理してるときだったか。
姉サンが困ってて代わりに持ち上げてやったんだよ。丁度一護が出動中だったしな。
ほわ〜んて花の香りがしてもう堪らなかった、て違うこの話は今はいいんだよ。
それで荷物を持ち上げようと腕をあげたり下ろしたりするだろ?そのときに上着が引っ張られてぴったりと体に沿ってるときに気付いたんだよ!胸の下の段差!
そんで屈んだときに上からこっそり覗きこんだらちらっとあの渓谷が見えた訳だ!!
神々の宿りし渓谷ーーーTA・NI・MA!!!!
そのときに確信したね。この人はなかなかのモノをお持ちだと。一護のクラスメイトのスウィートエンジェル程じゃあないにせよ、そこに次ぐぐらいの神々の領域をお持ちでいらっしゃるのだ。

「ふふ、コンちゃんはいつも上手ね」

「いやいや、姉サンが本物の女神だからですよ〜!!」

さらにこの男を癒す最高の笑顔!
マジで癒される。清涼剤だぜ、このお人は。

「ダメっスよ、風華。こんな性欲の権化みたいな獣に近付いたら」

擦れ違い様に舌打ちされた。
おい、なんだコイツ。
なんだってこんな変態ドS悪徳商人に付き合ってるのかが分からねぇ。もしや何か弱味でも握られてんのか?

「もう。それ、喜助さんに言われたくないと思うわ」

ーーーんん?どーゆー意味だ?

「アタシはいいんスよ。アナタの夫になるんスから」

ちなみにこの二人、まだ結婚はしていないらしい。
つまりオレ様にもワンチャンあるんじゃねぇか!?とこうして足繁く通い、姉サンの気を引きつつ、浦原の粗捜しに勤しんでるというワケだ。

女神はオレを居間に通した後にお茶を用意しに台所へ向かった。
ついでにあの男も。二人をこっそり着けていって聞き耳を立てる。

「あ、もうっ、喜助さん」

「んー?どうしましたァ?」

「やだ、だめだったら」

なんだ!?何してんだ!!?

「もうっ、や、んぅ、」

「ほら、ちゃんと舐めて?」

「ぁんっ、」

「そうそう、丁寧にね。こーんなになったのアナタのせいなんスから」

「もうっ、んっ、」

ナニか!?ナニしてんのか!!?客人ほっぽってナニしちゃってんのかよぉおおお!!?
あの女神のたわわなアレやむっちりしたソレを撫で回してマグナムなコレでぐっちょぐちょにしてんのか!?
なんて最低な男だ・・・!!
くっそう!こうなったら女神の恥態を焼き付けて今夜のオカズにーーーーー!!

「なーにしてるんスか、そんなところで?」

「ーーーーーへっ?」

修羅の顔をした浦原の後ろで、盆の上に何やらマグカップを並べる女神が見えた。
服は、乱れてない。エプロン姿も可愛い。さすがオレの女神。新妻妄想が捗りそうだ。
ーーーじゃなくて、今彼女が手に持っているのは、デコレーション用の生クリーム・・・?

「あら、コンちゃん。ごめんね、もう少し待ってて?この人が邪魔するからちょっと手間取っちゃって」

「えー、だぁって、生クリーム乗せのコーヒーゼリーなんか勿体ないっスよ」

「だからって、生クリームだけ摘まみ食いなんてするものじゃありません!」

「ちぇー」

ボクもあっちで待ってますね、と浦原はオレの背中をぐいぐいと押してやってくる。

「へ、ゼリー・・・?」

「そうっスよ。風華がわざわざ生クリームなんて絞ろうとするから、必要ないと思って邪魔したら溢れちゃったんですよ。勿体ないし、味見も兼ねて。でもスプーン取るのも面倒だったから指で、ね?」

何が、『ね?』だ・・・!
つまり女神がコイツの指をしゃぶらされていたと・・・!!?
オレの想像したようなことではないが、どっちにしろエロい!エロすぎる!!

「で、答えは?」

身の毛がよだつ程の低い声が追い縋る。

「は?」

「だから、ナニしてたんスか?そんなところで」

「ちょ、待てって、これ一護の体!!」

「大丈夫っスよォ。傷なんかすーぐに治して、あ、なんなら出血大サービスで元より綺麗にしてあげますよ?」

にたにたと口許を歪めるソイツの眼は、勿論笑っちゃいない。さっきよりも鋭い視線でオレは悟った。
ーーーこれは殺られるーー!!
オレは咄嗟にダッシュする。
が、遅かった。
すぽん、と魂が抜かれる。

「でも、まァ。黒崎サンに申し訳ないんで、コッチにしときましょうかね。ウールルー!」

テレビ代に置かれていた最近流行りのゆるキャラの中に入れて、あろうことか、アイツは恐怖の女を呼びやがった。

「黒崎サン(仮)と遊んどいてくださいな」

なんだそれ!なんだその(仮)ってぇえええ!!!
オレは女神と遊ぶ為に生きてうおおおおおおおおこっちくんなぁああああ!!!!!


ーーーーー
花金鳳花:あなたは魅力に満ちている
ーーーーー



(ーーーやっぱりあのとき処分しておけば良かったか )
(あら、コンちゃんは?)
(雨と遊んでますよ。ところで、風華サン)
(なぁに?)
(お願いだからもう少し男を疑ってくれませんか)
(疑う?何をですか?)
(っと、アナタって人は・・・)



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