女子(を愛でる)会 (*実録SS付)

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「ふーちゃん、お待たせー!」

数ヵ月前から約束していた絵画展へ向かうその日。
駅の改札に姿を現すなり、和はいつもの通りに風華と抱擁を交わした。

「ふふ、私もさっき着いたところよ」

ふわりと笑う彼女に和は「良かったー」とうんうんと頷いて背中に回していた腕を解いた。

「まだ五分も経ってないわ」

「ううん、そうじゃなくて」

顔の前で手をひらひらとさせた和に、彼女は首を傾げる。
もう一度、「そうじゃなくて、」と繰り返した和は、堪えきれないようにくすくすと笑い出す。

「駅で迷ってるんじゃないか?いっそホテルまで迎えに行ってあげてくれませんか?、ってふーすけさんから連絡あってね」

本当心配性だよねー、と肩を震わせる和から彼女はつい、と視線を外す。

「ふーちゃん?」

「・・・・・え、と」

きょとん、と見下ろす和の視線から顔を背けたままに風華は白状した。

「・・・迷い、ました・・・」

「え?この距離で!?」

和が驚くのも無理はない。
出口が複数ある駅とはいえ、彼女の宿泊先からそれぞれの手口は数百メートル離れているのだ。最寄りの出口をどうやれば迷うというのだろうか。

「あの、ちゃんと地図は見たのよ?でもね、昨夜来たときと逆に辿ったら違うところについて・・・。何回見ても昨日見た出口じゃないの」

昨夜は確かに5番出口から降りて右折してすぐのホテルに泊まったのだ。それを逆に辿るだけで良かったはずなのだ。
なのに、今朝見たところは、何度確認しても9番の表示。

「あら、おかしいわ、って思ったの。でも、乗り間違えても大丈夫な様に早く出発したし、」

「迷う前提で行動するからダメなんだって!というか、どうやったらそんな迷い方できるの」

心底不思議そうな和の声に、彼女は小さく「ごめんなさい」と呟く。心配を掛けてしまったことに変わりはない。

「わたしはいいけど、・・・そっか、ふーすけさんが矢鱈気にしてたのはこういうことか」

顎に手を掛け、むむむ、と唸る和に、早々に帰りの気が重くなる。間違いなく喜助に苦い顔で出迎えられるのだろう。

「よし、」

ぽん、と手を叩いて和はにこりと笑いかける。

「今度、ふーちゃん用のナビゲーターデバイス造ってあげる」

ブレスレットタイプがいいかなー、と上機嫌に頭を悩ませ始めた和に、慌てて風華が「そんな、悪いわ」と首を振るが彼女は既に構想を練っているようで片手間に返事をする。

「いいの、いいの」

「でも、」

「その方が、どこかの誰かさんの為にもいいでしょ?」

ね、と片眼を瞑る和に、「そうね、」と頷く。

「じゃあ、お願いします」

「まっかせて!!」

彼女は袖を捲り、自身の上腕をぱしん、と叩いてみせる。
歯をみせて破顔する和に、風華もほわりと目元を和らげたのだった。






(お帰り、風華)
(ただいま、喜助さん)
(・・・他には?)
(ごめんなさい、やっぱり一人旅は向いてないみたいです)
(だからあれほどナビか何か持っていけって言ったんスよ?アナタの"大丈夫"程、不安になる言葉はないですよ、まったく)
(・・・ごめんなさい)
(大体、何をどうしたらそんなに迷うんスか。昔から言ってますけど、・・・ちょ、風華!?)
(あーあ、泣かしたー)
(やーい、泣かしたー)
(!?どっから沸いて出たんスか!)
(沸いて出たなんて失礼な。それより、ふーすけさん!ふーちゃんも気にしてるんだし、そんな言い方しなくてもいいじゃない。ねー、なごすけさん)
(そうそう。誰にでも苦手なことはあるんだし、ボク等がフォローしてあげたらいいだけじゃない)
(いや、でもね、風華のはそういうレベルじゃないんスよ?自分で覚えられないくせに勝手にあっちこっちふらふらするし、)
(・・・っ、ごめんなさい、)
(いいのよー、そんなふーちゃんも可愛いから許す!)
(ほら、ふーすけクンも)
(あー、うん。ごめん、ボクが悪かったです)
(本当に、ごめんなさい)
(もういいっスよ)
(可愛い奥サンの為とはいえ、大変だねぇ)
(・・・他人事だと思って)
(だって他人事だもん)
(・・・なごサン、)
(あはは、ごめんごめん)


むーさんは、先に違うホテルに泊まってたとかそんなかな。
因みにふーすけは、ふぅちゃんにはどれだけ優秀なナビを持たせても何故か結局迷うので、もう着いていった方が早いという結論に至ってます。


※出口を間違えたのは実話ですwww
左折すれば良かったんだよ、ね?あれ?違う??(末期)

スコーンもう一回食べに行きたいんだけど、今日迷わずに行けたら誰か褒めてwwwwwwwwwwww
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