「Trick or Treat」
とても滑らかに美しく発音なされた、彼の声に普段なら、普段なら、聞き惚れていただろう。
(大事な事なので二回言いました。)
お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、という意味の英語を言った彼の姿を私は穴が開くぐらい凝視していた。
「あ、赤司…?」
「ん?」
「その格好、は…?」
「ああ、これ?」
すっと、自らの体に視線を落とした赤司。
そう、彼の格好は、執事。
そう、執事服、つまりは燕尾服を着ているのだ!!!
「桃井にこれを着ろと言われてね」
桃井ちゃん…! 
貴女ナイスね!!ぐっじょぶ!!
いや、皆様よく考えてくださいまし。
あのお坊ちゃんの、尽くしてもらう側の、赤司征十郎が、燕尾服、つまりですね、尽くす側の服を着てるなんて滅多にないんですよ?
てかハロウィンと関係あんのかな…。
しかも顔はあのモデルの黄瀬涼太と同じくらい整った顔をしているのだ。
眼福ですわぁ…。
写真撮っていい?
「で?」
「え?」
「お菓子は?」
「あ、あるよ!ある筈!
え、あ…れ…」
あ、あれぇー…?
右ポケットにある筈のクッキーがないぞー…?
ハッ、そ、そういえばさっき最後のクッキー、食べたんだった。
「…ないんだ?」
ニヤリ。
「まままままままって!!!」

「待たないよ、
…悪戯のお時間ですよ。
覚悟して下さいね、"#名前#お嬢様"?」


  
「赤き執事のハッピーハロウィン!」



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