06 微睡みの中暖かな夢を見る


「危ないっ!#名字#さんっ!!」 
体育で、男女混合授業で男子と女子に別れてバスケをすることになったその日。
私は少しぼーとしていた。
そんな声が聞こえて我にかえった途端後頭部に衝撃が走り、暗転する視界の中、鮮やかな赤色が目に映ったような気がした。


ふと、意識が浮上した。
誰かが優しい手付きで頭を撫でてくれている。
その手が凄く優しくて、心地よくて暖かかった。
その優しい手付きで撫でてくれる人が気になるが、瞼は重く、持ち上げられそうにない。
また訪れた睡魔が私に向かっておいでおいで、と手招きをする。
私は抗えずにまた意識を手放した。
その後見た夢は内容は忘れてしまったがとても暖かい夢だったということだけ覚えている。



     『微睡みの中暖かな夢を見る』



目が覚めたときにはテツヤが居て、きっとテツヤが頭を撫でていてくれたのだろうとそう思いお礼を言うと「なんのことですか?」
と、とぼけられたのでつい笑ってしまった。


prevnext