13 憂鬱な眠りに悪夢は付き物


斉藤さんが目の前で笑っている。
「私ね、赤司くんにフラれちゃったんだ。
でもね、諦めてないの」

「#名字#さん、赤司くんと付き合ってたでしょ?
だったら、さ。
赤司くんの好きなものとか、知ってる…よね?
教えてくれないかな?」
――知らないよ、彼は私のことなんて好きじゃなかったんだもの。
「だから、協力してくれる?
…それともまだ赤司くんの事好きなの?ねぇ、ねぇ」
――私は、
ぐにゃりと世界が歪む。

「ぁ…」
そこでパチリと目が覚めた。
時計を見ると眠りについてからまだ三時間もたっていないようだった。
この間の事を夢で見た。
私はあの時なんと答えたのだったか。
それすらもあやふやで思い出せない。
嫌な汗が出たせいで服が肌にひっつく。
ゆっくり上体をあげる。
ああ、憂鬱だ。
ガリガリと頭を掻く。
目がすっかり冴えてしまったけど…二度寝しよう、寝れるかわからないけど。
『憂鬱な眠りに悪夢は付き物』

やはり眠れず辺りが明るくなってきたので支度をする為仕方なしに起き上がった。





prev:next