12 桃色に微笑み赤を想う


「えーと、桃井さん」
「はいっ!」
名前を呼ぶと、元気よく挨拶してくれた彼女は私に何の用があるのだろうか。

「私に、なにか用があるんだよね?
あと敬語なくていいよ」
「う、うん!ありがとう…!
私も敬語なくていいよっ!」
ぱぁあっ、と明るい可愛らしい笑顔を浮かべてこくこくと勢い良く頷いている。
(あまりの激しさに首が取れないか心配になったのは秘密だ。)


「あ、のね、#名前#ちゃん、わっ、私とお友達になってください!」
きゃー!言っちゃったー!なんて、恋する乙女みたいに両手で顔を覆う彼女。
「わ、私で良ければ」
可愛いなぁ、私も桃井さんみたいに可愛かったなら、赤司くんに愛想を尽かされずにすんだのだろうか。
今となってはそれすらもわからない。 

「#名前#ちゃん!これからよろしくね!」
「よろしくね、さつきちゃん!」
とても嬉しくて頬が思わず緩んだ。

            『桃色に微笑み赤を想う』




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