11 桃色との遭遇


「おはようございます、体調は大丈夫ですか」
熱が下がり、風邪が治った次の日、
赤司くんと会うのが少し気まずくて、行きたくなかったけれどだるい体を引きずり学校へ行こうと玄関開けたらテツヤがいた。
え?

「…テツヤ?あれ?朝練は?」
「今日は朝から体育館は点検なので、放課後もないんです」
点検かぁ…。
さぁ、行きましょうか。
ふわりと笑ったテツヤは女の子みたいに可愛かった。


テツヤに教室まで送って貰い、赤司くんと目が合ったけどすぐに逸らされた。
それが少し悲しかった。

昼休み、昼食を取り終わると同時に担任の先生が現れ、頼まれ事をされた。
(まるで私が食べ終わるのを待っていたかのようなタイミングの良さに少し恐怖を覚えたのは秘密である。)
その帰りに美少女に話し掛けられた。
「あのっ…!」
「はい?」
後ろから可愛らしいソプラノの声に呼び止められ、後ろを振り返ると桃色の髪をしたスタイルの良い、とても可愛らしい美少女がいた。
話し掛けられたのはほんとに私なのかと、キョロキョロ周りを見回してみたが私と美少女以外この場に誰もいない。
美少女に改めて向き直ると少し、ぽかんとした顔をしていた。
そうだよね、呼び止めた人(私)がこっち見たと思ったらいきなりキョロキョロしだしたら驚くよね、ごめんね、美少女。
それにしてもぽかんとした間の抜けた顔をしていても可愛らしいって羨ましい、これが顔面格差社会というものか…。 
現実は厳しい物だった。

「#名字##名前#さん、ですよね?」
それにしてもなぜこの美少女は私の名前を知っているんだろうか。
まさか赤司くん関連?とか?
まさかね!
「わ、私っ!バスケ部のマネージャーの桃井さつきって言います!」
そのまさかだった。
てか、この子が桃井さんか…!!
噂通りすっごい美人だ!
こりゃあ、従兄弟に報告したら煩そうだなぁ…。
運命運命!と煩い2つ年上の従兄弟が脳裏に過ぎった。
現実逃避をやめて、思考を戻す。
…とりあえず目の前にいる美少女をどうにかしよう。


         『桃色との遭遇』

彼女のピンク色の瞳はキラキラとビー玉のように輝いていた。


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