09 熱に魘され、君が現れた


斎藤さんと話してから次の日。
朝から頭がズキズキと痛み、足元が覚束ない。
フラフラと階段を降りリビングに行くと、
「ちょっと!?貴方顔真っ赤じゃない!!病院行くわよ!!」
と母に問答無用で病院に連行された。

そこで診断された結果は、
「ストレス・疲労による発熱」
とのことで、
母は学校を休ませてくれた。

頭がガンガンと痛む。
薬を飲んだが、楽になるどころか酷くなっているような錯覚までしてきた。
熱は高くなかなか下がらない。

母は用事があって、今は出掛けているので家には私一人だ。
ピンポーン。
インターホンが鳴ったが私以外に人は居ないので、仕方なく、風邪のせいで怠い体を起こし、階段を降りて、扉を開けた。

「はい、どちら様で…」 
風邪で少し掠れた声を出し、相手を見た。
鮮やかな赤色が視界に映り込み、言葉が止まった。
「…#名字#、」
「あ、かしくん…?」
なんで、ここに?
その言葉は、空気となりかわりにひゅっ、と小さな乾いた音となった。

      『熱に魘され、君が現れた』

どうしてそんな心配そうな顔をしているの?
君はどうして此処にいるの?



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