08 心を抉る痛みは消えず


ぼんやり、と過ごす日々が続いた。
世界から色がなくなったような感じだ。
「#名字#さんっているかな?」
「はい?」
名前を呼ばれたので振り返ると、そこには4組の斎藤さんがいた。
「なにかな?」
「ここじゃ、話しづらいから、…中庭に行こ?」 
なんとなく、話の内容がわかって少し頭が痛くなった。

「私ね、赤司くんのことが好きなの。
だから協力してくれない?」
「えっと…、」
「あっ!返事は今じゃなくてもいいの!
じゃあ!それだけだから!バイバイ!」
返事をする暇もなく行ってしまった斎藤さんが走って向かったところに居たのは、
赤司くん。
胸がズキズキと痛み始めた。
赤司くんと笑い合ってる斎藤さんに嫉妬した私に自嘲の笑みを浮かんだ。

          『心を抉る痛みは消えず』


なんで私にはそんな風に笑ってくれなかったの、だなんて、今更なことだと、笑い飛ばした。


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