■ 白い悪魔の王子と逃避行

「雲雀さんやーい、ちょっとお話ししたいことがー…」
応接室の扉を後ろ手で閉める。
「…どうしたんだい?」
不思議そうに首を少し傾げる雲雀さんの姿に少しぐっ!と来たが、今はそんなことをしている暇はない。

「なんかオッドアイの綺麗な人が見回り中に話し掛けてきたんですけどー…知り合いですか?」
「…へぇ」
おおっう、なんか目がギラギラしてらっしゃる!
なんかドス黒いオーラがあふれでてるので避難の為そそくさと黒い革のソファーに身を沈める。
おおっ!ふかふか…!
とちょっと感動しているとトンファーが顔のすぐ横を横切った。
え?
「危ないです!!」
「ねぇ、君そいつになんて話し掛けられたの?」
「え、スルー?「クフフ、お久し振りです」ってあれ?ご本人様登場?」
「六道…咬み殺す!!」
きゃーっ、なんか二人とも武器を持ってらっしゃるー。
なんか戦い始めたんだけど、私やばくね? 
「おーい、こっちにおいで〜」
声がした方を見ると外から窓に身を乗り出しこちらに話し掛けている男。

「え、あっ白蘭?」
「うん」
窓枠に頬杖をついてにこにこと笑いながら手招きしているので、側に行く。
このままソファーに座ってたら私死ぬ…。
「わっ!!?」
腕を思いっきり引っ張られお姫様抱っこされました。
ちなみにここは三階です。
「お、おちっ、落ちる!!?」
「っ!?ちょっと!待ちなよ!!」
遠くの方で雲雀さんの焦ったような声が聞こえるけど今はそんなことに構っていられない。
私の生命の危機である!!!

「危ないから暴れないで」
間違って落としちゃうかも…ね?
そう言った彼は、ピタリと動きを止めた私に微笑んだ。
天使みたいな白い翼が背中に生えているのに悪魔のような黒い笑みを浮かべていて、
不覚にもきゅんときました。
          『白い悪魔の王子と逃避行』

明日、雲雀さんに咬み殺されるかもしれないけど今は彼と居たいなぁ。
      

後日…
「骸クンこの前はありがとね♪」
「クフフ、あれぐらいお安いご用です。…ところで報酬は?」
「うん、ちゃんと用意をしてるよ♪
高級チョコレート」
「クフフ…」



[ prev / next ]