■ 別れと共に思いを告げた

美しい赤が散らばる部屋で貴方は地獄を終わらして、
美しい赤と蒼色の瞳を輝かせ、貴方は笑った。 

「…一緒に来ますか?」 

貴方は少し屈んで部屋の端っこに踞っていた私に向かって手を差し出した。
私は信じられなかった。
私も研究員達と同じで殺されるものだと思っていたから。
答えたくとも、答えられなかった。
人体実験のせいで声が出なくなったのだ。
 俯いたまま答えない私に貴方は痺れをきらしたのか何も言わずに私の腕を取り、扉から覗いていた二人の男の子達にも私の時と同じ問い掛けをしていた。 

掴まれている箇所が熱くて、少し痛くて、でも、なんだかとても懐かしくて気を抜いたら泣いてしまいそうで。
 そんな私に知らないフリをして、貴方は私を地獄から連れ出してくれた。
 貴方は私の恩人。
そして、想い人です。

だから、
いつか声がまた出せるようになったらその時はーーー…

「#名前#っ!!!!!」
「むく、ろさま……っ、 
 ''                                       '' 」
貴方のために死ねるなら本望です。
         『別れと共に想いを告げた』 
"お慕いして、おりました"

暗転する意識の中生暖かいものが頬に流れ落ちていった。

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