- ナノ -


その部屋は

私だけが残る


スティーブンの元へ電話がかかってくる。それは、ギルベルトを呼んでほしいとのクラウスからの電話だった。携帯の主が、自分は行ってはいけないのかと聞けば、クラウスはすまないがと言い、電話を切った。
ギルベルトが一人ライブラの応接室へと戻り、スティーブンは外で待ちぼうけを喰らった。

数十分後、ギルベルトがスティーブンを招いた。もう入ってもいいと言った。
クラウスは、と聞けば、自室で休んでいるとスティーブンは教えられた。そうかと言って、資料ややる事もあるのでライブラへの扉を開く。

中へ入ると、クラウスとあの男がいないことを差し引いては、何も変わっていないように思えた。
ただ、スティーブンは顔を歪め、鼻を触る。

その部屋は甘く腐った臭いがした。