? すなわち 直ぐに食糧は持って来られた。 中々にニャルは優秀で、パンや野菜、お菓子、果てはレトルト食品まで揃えてきた。 英語のパッケージや日本語で書かれたものまであって、思わず懐かしすぎて唖然とした。 『■■■■』 そして私は発声練習である。それっぽくは聞こえてきたのだが、未だに脳髄を揺らすような感じが抜けない。 喋り過ぎると、彼の鼓膜を破壊して脳内をシャッフルした後に破裂させてしまいそうだ。 しかし形にはなってきている。目標は曲げないぞ。 そしてそろそろ餓死でもしてしまいそうな彼である。 そんな彼がいる私の中へ触手を使ってそろそろと食事を持っていく。 最初は食べやすそうな米からにしよう。コンビニかどこかから勝ってきたっぽい市販のおにぎりがあったので、それを彼の前へぽとりと落とす。 耳は無事であると思うし、これで気づくと思うのだが……。 そうやって観察していると、どうやら何かが落ちて自分の目の前にあることには気づいたようだ。 しかし警戒して手を付けない。 どうしよう……直接彼の上から落とした方がいいだろうか。 でもそうするともっと警戒しそうだし……とりあえず様子見だ。 見ていると、物体(おにぎり)から動きがないことを確信したのか、彼がそーっとそれを手にとった。 おお、と感動しながら見ていると、それを顔に近づけ匂いを嗅いでいた。 「これは……食べ物か?」 そう! 食べ物です! どうぞ召し上がれ! 嬉々として見ていると、彼は一通りおにぎりを万遍なく触り、おそるおそるといった様子で包装を解いた。 それからさらに鼻を近づけ、匂いに異常がないと判断したのか、少しだけ口の中に入れた。 おおおおお! 食べたー!! 「ごほっ」 と思ったら吐いたー! なんで!? 普通のおにぎりだったよね!? 慌てたが、ハッと気づく。そういえば彼は何日も食べていないんだから、そもそも固形物を渡すのは間違っていたのでは? 例えば水とかの方が――。 ニャルの持ってきた食糧をごそごそと漁ると、きっちりと一か月分らしきペットボトルの山があった。 流石ニャル! 大慌てで水が入っている五百ミリリットルのペットボトルを彼の近くへ落とす。 ビクッと反応した彼は、しかしそれに手を伸ばした。 そして何か分かったのか、一通り先ほどと同じような動作をした後に蓋を取って一口水を飲んだ。 「はぁ……」 落ち着いたらしい男性にこちらも安堵の息が漏れた気がした。 とりあえず、これで彼も死ぬことはないだろう。一安心だ。 前 次 |