『■■□■■』
- ナノ -



? 最下の混沌の最後の無定形の暗影にほかならぬ


気付いたが、彼の食事はどうしよう。
彼も人間であるし、食べ物を食べられなければ死んでしまうはずだ。
実際彼はだんだんと動きが鈍くなってきているし、怪我の治癒も栄養がなければどうにもならない。
一通りあたふたした後に、自分ではどうにもならないことに気づいてあの生物を呼んだ。


なんか情報くれる生物来てくれー!
あ。来た。早いな。全部言い終わる前に来たな。

ちょっと頼みごとがあるんだけどいいかな?
えっ、嫌だ? な、なんでさ。いいじゃん別に。
しょうがないなーって、ツンデレかよ。猫かよ。今度から猫って呼ぼう。
それで、人間が食べられる食事が欲しいんだけど……。
そうだな、一か月分ぐらい? いける?
うん。うん。そうそう。よろしくねー。


うん。大丈夫そうだ。しかしアイツの名前、猫ってのも適当だな。
猫……ネコ……ねこ……にゃーん……にゃんにゃん……にゃん……にゃお……にゃる……ニャルにしよう。

まぁそんなことはいい。とりあえず食糧の確保はどうにかなった。
後は、怪我だな。様子が気になる。
視点を中に映してみると、そこには――。

足元から対象の氷を出して中からぶっ刺してくる男性がいました。
えええええ超能力者的な感じですか! 足から氷出せるんですか! マジでそんな人いるんですね!! ファンタジー!
って、盛り上がっている場合じゃない。内側から攻撃されてしまっている。
でも、不思議と痛くないし、焦りもしない。これぐらいだったら“大丈夫”だとなんとなく分かる。
気分的にはペットがやんちゃしちゃったーぐらいだろうか。勿論ペットではないけど。
ううむ、これが神と人の差か。

とりあえず氷を溶かして刺さった所を元に戻す。
それを目が見えなくても察知した彼は、忌々しげに舌打ちをした。

「くそ、駄目か……」

うーんごめんね。まだここからは出せないんだよね。
私の外は空気ないし、また死なれちゃ困るし。
元気になったら元の場所に戻す方法もニャルに聞くから、それまで我慢してね。
項垂れる彼に謝罪をしつつ、とりあえずそれを伝えるためにも発声練習をしようと思った。
目指せ、人間の発音!