小説 リクエスト
- ナノ -


▼ たっぷりと愛してあげる

*少し注意


私は女だった。
『お前は男女だ』とか『男に生まれてくれば良かったのにね』とか『女なの?』とか、そりゃあ性別を疑われるような発言を幾度もされたが、それでも私は女だった。歴としたメスであり、子を産める身体であり、男を愛することが出来る思考回路の持ち主だった。

しかし――なんの因果か、生まれ変わったら男に成っていた。

……やっぱり神様さえも私が女だったのが可笑しいと思ってたんですかこの野郎!

……はぁ。
私の名前はクラウス・V・ラインヘルツと言う。ドイツ貴族の三男坊で、今はヘルサレムズ・ロットという場所で自営業というかNPO法人というか、まぁ慈善活動のようなものをしている。
私には前世の記憶がある――というか、そもそも生まれたときから生の延長線上にあったような感覚だったのだ。自分が死んだ覚えはある。ボールを追いかけて道へ飛び出した少年を助けようとして……まぁ後悔はしていない。しかし家族や友人に申し訳ない気持ちはある。しかし、目を閉じる最後に少年が生きているのを確認できたから、私の人生はそれだけで報われたと言えるだろう。
そうやって死を受け入れたわけだが……どうしたことか私は再び生まれた。

男として。

……何故だ? 何故なんだ? 私がそんなに男っぽかったのが気に喰わなかったのか?
周囲を悲しませた罰なのか何なのか。私は性別を違って生まれてきてしまった。これでは性同一性障害である。記憶も他人と区別できれば良かったのだが、残念ながら延長線上である。つまり私は心は女のままなのだ。
だが、元から思考がはっきりしていた私はそれを周囲に悟られることはなかった。というか、別に女でも男でもすることはあまり変わらなかったから、気にしなくても周囲は気付かなかった。
だってものがあるかないかの違いだろう。あとは突っ込まれるか突っ込むかの違い。
恋人というものもできなかったので、早々困ることはなかった。
なかった、が。それでもやはり悔しいことは悔しいのだ。

私は女だ! だから、男を愛してみたかった。
男としての身体を持っても出来るだろうが、今の立場は慈衛団体――というのは止そう、秘密結社ライブラという事務所を経営する一人の長として、そういった弱みが発生する真似はできないのだ。
それを理由に相手の男性にまで迷惑をかけてみろ。私はその迷惑をかけた相手をこの拳で粉砕するが、相手の傷は癒えない。そんな悲しい真似を私は相手に敷くことは出来ない。

そうこうしていると男を愛すという前世からの目標からは遠ざかり、私の中で恋愛というものが古い言葉になっていってしまった。
とても悲しい事だが、私には仕事がある。世界を守るという立派な使命である。このニューヨークが異界と混ざり合い、一つの事故や事件が世界の混乱を引き起こす可能性がある都市で、その事柄を解決し、知らぬうちに世界を救うというのも漫画のようで乙である。
共に戦ってくれる力強い仲間もいることであるし、私は満足している。

そう、満足しているはずだったのだが。

「……つまり、どういうことだろうか?」
「だからっ、今僕は薬を盛られて正常な思考回路にないから離れてくれって言ってるんだ……!」

ふむ。
私の生涯の相棒、その彼はスティーブン・スターフェイズというのだが、彼はとても冷静沈着で頭の切れる男である。イケメンで顔のある傷さえ色気に変え、たれ目がちの瞳は女性を虜にし、長い脚から繰り出される血凍道は美しいと言わざるを得ない。
と、そんな彼がここまで切羽詰まるもの珍しい。よく私からの無茶ぶりで唖然としていたりもするが、直ぐに顔を戻してその無茶ぶりを実現してくれる優秀な人物である。だからこそ、珍しい。
ライブラで皆が帰った後、一人で事務処理をしていた。丁度ギルベルトにも用事を頼んでおり、私だけがいる状況で彼がやってきたのだ。顔は上気し、辛そうに身を屈めるスティーブンに駆け寄ったのはつい先ほどの話だ。

しかし彼はライブラに誰かがいるとは想定していなかったらしい。確かに私も通常ならばこの時間は既に事務所の奥へ引っ込んでいる時間である。
つまり、彼は私に助けを求めてはいない、ということになるわけであるが。

「仲間が苦しんでいるのを見過ごせるわけがない。ソファへ座ってくれ、直ぐにギルベルトを呼んで解毒法を調べてもらおう」

残念ながらこのヘルサレムズ・ロットでは、薬の種類は多岐に渡り、それはドラッグのようなものから完全な異界物質が紛れ込んでいるものもある。その対処は私には出来ない。
壁に手をついて荒い息をするスティーブンに手を伸ばす。

「ッ、触らないでくれ!」
「む」

手を引こうとした瞬間、パンッと高い音が響き、近づけた手が打ち払われる。
それに、驚いたのは打ち払った彼だった。少し払われた手に気を向ければ、スティーブンはどこか怯えた様な表情で私を見る。

「あ、ごめ、ん」

辛そうな様子に、そんな表情を見せられてはこちらが困惑してしまう。
安心させるように言葉を返す。

「大丈夫だ。すまない。君が苦しい事を知っていながら触れようとなどした私が悪いのだ。どうか気に病まないでくれ」
「君が悪いわけないだろう! っぅ」
「あまり興奮してはいけない。何か支えになるようなものを持ってこよう。それなら君も私に触れずに動ける」
「ま、待って――ぅわっ」

触れられないのなら、杖のようなもの持ってこようと部屋の奥へと足を向ける。
しかし背後から聞こえた声に、思わず手が伸びた。
無理をして動こうとしたためだろう。重心を崩し倒れ込んだスティーブンは、ろくに受け身も取れない様子だった。そんな彼の腰へ手を回し、抱き留める。
とりあえず床に直撃することを免れ安堵の息を吐いた。胸部に顔を埋めているスティーブンの顔を手で導き、こちらへと向けさえる。

「怪我はないか? スティーブン」
「っ、ぁ、僕、ごめん……!」
「気にすることはない。苦しんでいる仲間を助けることも私の役目だ。それがスティーブンならば尚更だ」

この相棒は、私を助けるだけ助ける癖に、助けを求めようとしない節がある。裏でこそこそと何かをやっていることも私だってわかっている。けれど、彼が言おうとしないのならそれでいい。
けれど、こういう時ぐらい助けを求めてほしいものだ。
顔に添えていた手の親指で、数回スティーブンの顔を摩る。顔を真っ赤にして、弱弱しい彼はとても珍しかった。こう見ていると、こういう姿をもっと見せてほしいとさえ思う。
息苦しいのか、スティーブンの喉が上下に動く。

「っ、ク、クラウス!! 離してくれ!」
「スティーブン? ……!」

数秒潤む瞳でこちらを見ていたかと思ったら、突然暴れだしたスティーブンに眉を傾げる。
だが、彼は弱っているし、元々力は私の方が上だ。押さえ込んでどうしたのかと聞こうとすれば――足部分に当たった感覚にその意味が分かった。

ふむ。薬を盛られて……というのは、そういう類だったのか。

彼に薬を盛るぐらいだから、もっと苦痛や自白剤の方向かと思っていたが、違ったらしい。
しかし、媚薬とはヘルサレムズ・ロットはなかなか色事も罪深いようだ。
まるで今にも泣きそうな程に顔を歪め俯き、首まで真っ赤にしたスティーブンの姿は、なるほど確かに性的だ。誰もが虜になるだろう色気を全身から放っていて、この姿ならば男でも一瞬にして落ちるだろう。

だが、涙を溢れさせようとするその顔は気に入らない。出来るだけスティーブンの身体に刺激を与えないように出来るだけ優しくスティーブンを抱きしめた。

「落ち着いてくれ、大丈夫だ。薬の所為だ仕方がない。そんな顔をしなくともいい。こんなことで君を幻滅したりはしない」
「クラ、ウス……本当かい? 気持ちが悪いと、思ったりしないかい……?」
「勿論だ。落ち着いて、ゆっくりと息を吸うんだ」

気持ちが悪いなんて、思うわけがない。例え、彼が私の胸元にげろを吐いても間違っても気持ちが悪いなんて思わないだろう。だって、それぐらい一緒にいた仲だろう。互いに戦いの中で一瞬のうちに意思疎通をし、時には互いに知らせずに互いの為を想い行動する。そうやって過ごしてきたのだ。何を心配することがあろうか。
頭を撫でながら指示を出す。
息を吸って、吐いて。その繰り返しで、スティーブンはようやく少しだが体の熱を抑えることが出来たらしい。
もう大丈夫だ、との声が聞こえ、それがいつもの調子に戻りつつあるのを聞いて口角を緩めた。

「なら、移動しよう」
「へ、クラウ――うわっ!」

すくいあげるようにスティーブンの身体を持ち上げる。
いうなればお姫様抱っこというものであるが、生まれ変わったこの大きな身体なら易々と行える。男に生まれ変わったが、こういう所は有り難い。守りたいものをこうして守れるようになった。身体も頑丈で、ちょっとやそっちのことでは死にはしない。以前のように大切な誰かを残して早々逝くこともない。

「く、クラウス……」
「ソファより仮眠室の方がいいだろう。連れて行こう」
「えっと、その、ありがとう……」

縮こまるスティーブンを抱えながら、仮眠室まで連れていく。
俯き続け、顔の見えない彼の姿に、少しもの悲しさを感じた。

扉を開け、休憩室へ入る。二つベットのあるうちの一つに横にゆっくりと下す。

「は、恥ずかしいよ、僕だって男なんだぜ?」
「そうか、それはすまない。だが、弱った君に無理をさせることは私には出来ないのでね」
「……そうかい」

横になり、熱い息を吐くスティーブンの顔の赤さは、どうやら媚薬のせいだけではなかったらしい。
それに少し笑みを浮かべながら返す。そうすれば、さっと目を逸らされてしまった。
しかし、彼も災難な目にあってしまったものだ。
だが、体にこれ以上の害がないのであれば、それはそれで一安心だ。身体を蝕む薬なら、早急に対処せねばならないが、そうでないならば彼の気持ちが整理できるまで待った方がいい。

「スティーブン。何か欲しいものはあるだろうか? 直ぐに持ってこよう」
「……そうだな、じゃあ、水を持ってきてくれないかい?」

頷き、そのまま休憩室を後にするために足を進める。
扉を出る直前、スティーブンの様子が気になり背後を横目で見れば、彼もこちらを見ていた。
赤い顔で、何処か涙がにじむような目をしていた。


――キッチンでコップに水を入れる間、その顔が頭を離れなった。
どこかで見たことがあるのだ。記憶を掘り返していれば、前世の時に見たのだと気づいた。

私も、ついぞ恋愛とは無縁ではあったが、前世でも告白されたことはあるのだ。
女性から。
私の恋愛対象は男性だったので、お断りさせていただいたのだが、彼女の顔とスティーブンの顔が重なった。勿論、面影があるというわけではない――その表情だ。
頬を赤らめて、行かないでと如実に語る様に私を見る。
熱い目線で、何処か切なげな眼をして。

『報われないって、分かってたんです』

涙を零しながらそういった彼女の言葉が耳に残っていた。
そう――彼女の瞳の理由は、女性同士で在り、報われないと理解していたからだった。


「スティーブン、水を持ってきた」
「あぁ……ありがとう」

置いてある小机の上にコップを置き、横になっているスティーブンへ言葉をかける。
赤い顔のままいつものように礼を言うスティーブンは、この短時間で冷静さを取り戻したようだった。

「どうやら、もう大丈夫のようだな」
「そうだね、迷惑かけたよ。後で何か奢らせてくれ」
「気にすることはない。お互い様だろう」
「にしても今回のは酷過ぎる……忘れてもらう意味も込めて、何かするよ」

盛んに礼を与えることを主張するスティーブンに、少し考えて、そうして一つ尋ねた。

「では、一つ問いに答えてもらえるだろうか?」
「なんだい? 答えられることなら喜んで」
「ああ……君なら、必ず答えられる」

ベッドへ近づいて、スティーブンを見下ろすように見る。
赤い彼の瞳に私が映り、彼は私の言葉の意味を解そうと少し眉を歪めていた。
腰を曲げ、彼の顔に近づけば、驚いたように彼が声を上げる。

「どうしたんだ、クラウス。らしくない」
「君に、聞きたいことは一つだけだ」

赤い瞳に私が映る――その感覚に満足感を覚えていたのはいつからだっただろう。

彼は、いつも私の隣にいた。牙狩りとして吸血鬼などという化け物相手に戦うようになってから、彼はずっと私の隣にいてくれた。時に助けられ、時に助け、互いの命を互いでつなぐ日々だった。
私が無茶をすれば彼は叱り、彼が過労で倒れれば私が看病した。何処までもよくできた相棒だった。
彼は私の想いをすべて理解し、そうして行動してくれた。私は彼に感謝し、そして満足していた。
私の生涯の相棒というスティーブンの立場を。

先ほどの、彼の表情を見て思い出した過去の女性の記憶。
報われないと心を砕く彼女の悲しみはいかほどだったろう。報われないと知りつつも、しかし恋慕し、私を見つめていた彼女の想いはいかほどだったろう。
私は彼女には答えられなかった。彼女を好いても、愛してもいなかったからだ。

だが――

彼の傷口をゆっくりと撫でる。そのまま首元にある赤い刺青を指で辿れば、彼の身体がビクリと震えた。

「君は、私のことが好きか?」
「す、きって……」
「私の事を、どう思っている?」

私の手は、女性らしい細さを失ってしまった。けれど、その代わりに大きく逞しい手となった。
その手で、ゆっくりと彼の顎を撫でる。

「どう、って、そりゃあ――」
「嘘は、言わないでくれ」

いつもの笑みを浮かべようとした唇に指を当てて制止する。
今は、その言葉を聞きたいわけではない。何もかも、私に有利になる様にと、気遣う声を聞きたいわけではない。

「君の本心が聞きたい」

私の勘違いなら、それでいい。
だが、スティーブンは眼を見開き、そして口を戦慄かせる。
怒りからではない、まるで泣きそうな表情に胸が痛んだ。

「僕は」

震える声は隠せているとでも思っているのだろうか。
哀れなほどに精いっぱい虚勢を張るスティーブンは、必死に言葉を紡いだ。

「“仲間として”君のことが……好きだ」
「……そうか」

まるで身内が死んだのだと告げるように、スティーブンの言葉は重苦しかった。
その言葉に、数十年分の苦痛が詰め込まれているように感じられるほど、重い声だった。
顔を背けてしまったスティーブンに、膝をおって耳元へ語り掛けた。

「私は、君のことが好きだ」
「ッ!? 何言って――!」
「“仲間として”ではなく。君のことが好きなのだ。スティーブン」

彼が、どこに誰に薬を盛られたかは知らない。
けれど、彼の今の姿を他の誰かが見たのかと思うと――私は、居ても立っても居られなくなった。
感じたことのない焦燥感。けれど、きっと似た様なものはずっと感じていたのだ。
彼が怪我をしたときに、彼が死にかけた時に。
私の隣から離れないでくれと、きっと願っていたのだ。
仲間としてだけではなく――愛しているからこそ。

ずっと気付かなかったなんて笑えないほど、私は彼なしでは生きられないようだった。

しかし、そんな彼は赤い顔を青ざめるなんて器用な真似をして、上半身を起き上がらせ、怒鳴る様に言った。

「馬鹿なことを言うな! 君が、君が僕の事を好きだなんて、そんなことあるわけがないだろう! そんなこと、あっていいはずがない!」
「これはまた酷い言い分だな」
「当たり前だろう! 君は、立派な人間で、何でもできて――そんな君が俺を好きだなんて、そんな、そんな、バカみたいなことが……!」

立派な人間、何でもできる。一体だれの事を言っているのだろうか。
私がライブラのリーダーとしてそうできているのは、他でもない相棒がずっと一緒にいてくれているからだろうに。

「スティーブン、落ち着いてくれ。ゆっくり話をしよう」
「これが落ち着けるか! ああ、くそっ、僕が悪いんだ。僕が、君を好きになったばっかりに、だから、君は――」

いつもの冷静さは何処へ落っことしたのか。
混乱するにもほどがあるほどに混乱しているスティーブンの姿を見て、暫し悩む。
尋常ではないほど身体を赤くした彼は、どうやら薬も相まって正常な判断が出来ないようだ。
少し時期を誤ったかと思いながらも、彼の口からこぼれ出た本音に知らず口角が上がる。

水の入ったコップを持ち、一口含む。
そのままスティーブンの熱い腕をとって、もう片方の腕でスティーブンの後頭部を引き寄せた。

「っ――!」

唇を重ね合わせ、無防備に口を開けていたスティーブンの口内へ含んでいた水を侵入させる。
驚きに抵抗するスティーブンを押さえつけて、そのまま水をすべて送り届ける。
抵抗する舌を絡めとって、そのまま生暖かくなった水をかき混ぜた。

「――ッ、っ――!」

抵抗は暫くすると収まり、代わりに耐えるように私の服を掴んでくるスティーブンに身体が熱くなるようだった。
そのまま、全ての水を飲み込むまでそうしていれば、最後の一滴まで飲み込んだのを確認して唇を離した。

まるで獣の様に息を荒くし、目からは涙を、口元からは零れた水を垂れ流し、赤ら顔でこちらを見るスティーブンは、控えめに言っても襲われても文句が言えないような様子だった。

「ふふ、冷静にはなっただろうか」
「な――なるわけ、ないだろ……ッ!」

口元を拭いながらそういうスティーブンに、笑みを浮かべる。
珍しい姿だ。こうやって感情を表に出して、そういう顔をもっと見たい。

「スティーブン。私は君を好きで、君も私が好きなのだろう? それ以上に、何か理由がいるのか?」
「ッ、でも、僕は男だぞ!? それに、ラインヘルツの人間で……!」
「それこそそれでいい。それに、家の事は自分でどうにかする。そんなことも出来ずに、愛する者を守ることなど出来ないだろう」

手を掴み、その少し骨ばった男性らしい手の甲にキスを贈る。
スティーブンは絶句した後に、顔を手で覆った。

「クラウス、君ってやつは……なんでそんなに……」
「どうしたんだ、スティーブン」
「なんでもないッ!」

顔を覆って離さないスティーブンに、やはり少しもの悲しくなる。
愛する人の顔が見たい。そう思うのは、とても嬉しい事だと分かった。

「スティーブン、顔を見せてくれ。君の顔が見たい」

覆っている手にキスをすれば、呻き声が聞こえ、そうしてため息が漏れた。
それがどういう意味なのかが容易に分かる。彼はなんだかんだといい、私の無茶を通してくれる。
顔を擦る様にしてとれた手のひらの奥には、涙で濡れた表情があった。

「……君の所為だぞ」

恨めしそうにそういわれ、真っ赤になった愛しい人の表情に愛しさ以外込み上げるものなどなかった。
ベッドに腰を掛ける。簡易なベッドは音を立てたが、それでも二人乗る分には耐えてくれるだろう。
涙で濡れてしまっている頬を撫でながら、スティーブンの手を繋いでいう。

「なら、責任を取らなければ」

やっと見つめた私の愛しい人。たっぷりと愛してあげるから覚悟しておいてくれ。
私をこの身体に、この世界に、彼の隣に居させてくれた神に感謝しながら、私は笑みを浮かべた。




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「男前すぎるクラウス成り代わりにスティーブンがきゅんきゅんしつつイチャイチャ」
紅蓮さんに捧げます!
そして、男前って、これで合ってるんでしょうか!?
書いていてもうわけわからんくなりました。男前の定義とは。
とりあえず押せ押せなクラウス成り代わり主となりました。
スティーブンはきゅんきゅんというより媚薬の効果もありギンギ――違う。バックンバックンですね。
途中で成り代わり主のドS心に火が付きそうになって焦りました。男前じゃなくなってしまう……。
でも、ちゅーは、入れました!(?)
ちゅーというよりディープキスゴホゴホな感じになってしまいましたが。
喜んでいただけるのかこれは!? 心配ですが願いつつ……。
では、紅蓮さんリクエストありがとうございました!

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