- ナノ -



  閑話


閑話

フラスコのような機械に閉じ込められる我が子たち。
その姿を見れば、前世でどのような姿だったのかをすぐに連想できた。
中には実際に前世で関わったものさえいる。

「哀れな……」

ああ、哀れな。
可哀想なこの子たち。
前世も天術もろくに知らずに異能者適応法とやらで捕縛されたものもいるだろう。

何も知らず、なんの力も受けずにこの世に生を受けていれば、こんな理不尽な仕打ちを受けずにすんだものを。
結局土地が変われば支配者も変わる。
天上では天上人が支配者だった世界は天上がなくなり、いまや地上人の天下だ。
それを知る地上人はいないだろうが。

「殺してやりたい。ああ愛しい我が子たちよ」

こんな生も死も分からぬ中で過ごすのは、私が暗闇で一人寂しさに苦悩していた日々と、どんな差があるだろうか。
あんな苦しみを受けているのなら、今すぐに殺してやりたい。我が愛の矛先で。

でも、それはまだ。
ガラスの中にいる我が子を撫でるようにガラスを撫で、背を向ける。
フラスコの我が子が、小さく笑った気がした。

(きっと、それは――)
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