- ナノ -



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と思っていた矢先。

どうやら私を苦々しく思っていた子たちが、私の寝首をかいたようで、殺されてしまった。ポックリである。
魂までを握りつぶそうとするその子達から逃げ仰せ、再び転生というものを果たした。三度目である。
元々魂が循環するようにと転生というシステムを作ったのだから当たり前だが、しかし助かった。

だが子供達に殺されるとは思ってもみなかった。みんな表面付き合いがうまいのね。お母さん感心しちゃったわ。
といってみたものの、今回も「男」らしかった。「女」が子供を産むという概念があるためか、どうしても母気質になってしまう。危ない危ない。これではなんか凄いキャラになってしまう。

「……」

んで今回も「死を司る神」らしいんだが。まぁ転生だしそうだわな。逆に違う地位を貰っても困るし。
困るんだが、転生した直後、私は凄く困っていた。

「……」

赤子である。なんか赤子である。
自らが闇の中から生まれでて、なんか一緒についてきた。
神(と呼称することにするが)の寿命は、なんか長い。と思われる。
だから成長も遅いのだが、私は赤子だと何も出来ないのでさっさと成長してしまう。神だし、ちゃんと意識があれば可能である。

しかし、ここにそういう意識のない。本当の赤ん坊が一人。

「あう、あ」
「……む」

しかも手を握られてしまった。結構力強い。
私は今まだまだ幼く、手も少しふっくらとしている子供の姿だが、その手というか指先を握る赤子。

ふむ…くぁわぃい。
違った。可愛い。

なんだこれ。凄く可愛い。なんか物凄く可愛い。どうしよう。可愛い。可愛い可愛い可愛い可愛い!!!
もちろん成人した子供達も凄く可愛かった! 馬鹿でも利口でも背が小さくても大きくてもよく分からない蛇みたいな形をしていても、なんだって可愛かった!
でも、これは色々段違いだ! なんか、こう。絶対守りたくなるような!

私は基本子供達には干渉しないつもりだった。子供達は子供達で歩む未来があるだろうし、それにつべこべいう気はなかった。
でも、でもこれは……! 干渉とかいう以前に、加護欲をそそられる……!?

これが、これが生まれたばかり。というものか!
赤子とは愛いものだなぁ! 生まれたばかりというのはなんと儚げで可愛らしいものだろうか!
ケルベロスも生まれたてといってはそうだったが、作ったという点から既に完成されてしまったいた。
だがこの子は自ら創った世界で生まれ出た、本当に今だ何も力を持たない無力な子だ!

ああ、可愛らしい!なんということだ!!

「お前を今から私の『家族』とする。異論は認めんぞ!」
「あぅ?」
「そうだ。家族だ!ははは、この私が家族など、お前も『偉い』ものだな!アハハハハハハ!」
「あぅ、あぅぅ!」

生まれたばかりの赤ん坊を抱きかかえ、高い高いをしながらぐるぐるとその場で回り続ける。
その度に身体は大きくなり回り終わることには立派な青年となっていた。
よしよし、これくらいならこの子を守れるだろう。

子供達も全員が全員良い子ではない。何かの拍子に私のように殺されてしまうこともあるかもしれない。
だがそうすると『家族』というものにした意味がなくなってしまう。
ふにふにとした頬を頬を擦るつけると、話さないように耳たぶを握り楽しそうにきゃっきゃと喜ぶその赤子に、私は心を奪われていた。

とりあえず言わせて貰おう。さすがにこのときは赤子の魅力にノックアウトされて可笑しくなっていた。

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